中江裕司監督、 琉球弧の島唄に挑む |
中江監督(右端)
" 第6回しんゆり映画祭" の最終日を飾った「ナビィの恋」の中江裕司監督。
上映が終わると、真っ先に舞台へ上って踊りだした監督の丸っこい愛嬌のある姿は忘れられません。
隣席の子供が、"縫いぐるみの熊さんみたいだ"
と叫んだ声に腹を抱えた新百合の観客の皆さん。
そう、あの中江監督が今度は琉球唄のドキュメンタリーを撮った制作ニュースです。
取材は意外なきっかけで始まりました。 「"ナビィの恋"の監督さんは、今年も映画祭に来られるとですか?」 2月に入った寒い日、 映画祭の事務局に九州訛りの電話がかかってきた。 聞いてみると厚木に住む元競輪選手だったオジサンさんだという。 このオジサン、 映画祭の舞台で踊った中江監督を見てからというもの、 沖縄唄と踊りの虜になり琉球酒場に入り浸りらしい。 「まあ、 中江さんが今年も映画作られたら可能性はありますが・・・」 「映画出来んかったら、 踊って貰うだけでもよかと!」 「あの、 中江さんは監督なんですけど・・・」 「分かっちょるよ、 踊りの監督さんだろが・・・分かって・・・」 無茶な、どうもオジサンは酔っているらしい。僕は平身低頭して電話を切った。 前置きが長くなってしまったが、つまるところ、競輪オジサンの電話が契機になり、 僕は "ナビィの恋"の制作を担当した新井真理子プロデューサーから中江監督の近況を聞くことができたのである。 オジサン、ありがとう! 新井プロデューサーによると、 中江監督は昨年の5月から琉球弧の唄者(うたしゃ)のドキュメンタリーを撮り始め、1月にクランクアップ。 つい先日、本編集を終えたのだという。作品のタイトルは「琉球の魂を唄う」。なんと、3月16日にNHK・BS2で放映される予定なのだ。 作品は2部構成になっており、 第1部は、あの「ナビィの恋」 の登川誠仁さんを追ったドキュメンタリー。第2部では八重山や宮古、奄美大島といった琉球弧の島唄と唄者が紹介される。まさに、中江ワールドの極め付きドキュメンタリーである。 ところで、この新井プロデユーサー、「ナビィの恋」の撮影と上映で監督同様すっかり沖縄の虜になってしまった若き女性である。 今回、彼女は登川さんに密着して撮影していたのだが、 「登川さんの唄に触れれば触れるほど、自らの沖縄の唄に対する理解力不足に悩んだ」 と心の内を語ってくれた。 「それに、沖縄の方言には古い日本語(大和言葉)が沢山入ってることに驚きました。 とても美しく慎ましやかな言葉なんです・・・勉強になりました」 彼女の若い感性は"沖縄に生き残る美しい日本語に感動し" "奄美の唄に悲しい歴史を感じ""生活に根付いた唄からエネルギーをもらい" ますます沖縄が好きになってしまったに違いない。 最後に彼女の言った言葉が印象的だった。 「私たちは唄を撮ったつもりでしたが、やがて、唄が上手いとかの問題ではなく、唄者(うたしゃ) の姿や気持ちが撮影出来ているか否かが大切だと分かってきました」 中江監督は本編集のためスタジオにこもり切りなのでお話を聞けなかったが、新井プロデューサーから撮影中の様々なお話を伺うことが出来た。 今回の作品の詳細や登場する琉球弧の唄者については、こちら「ナビィの恋」オフィシャルサイトを見て頂きたい。この制作ニュースが出るころは作品も完成し、 中江監督は泡盛を浴びるほど飲んで踊っているに違いない。 縫いぐるみの熊さん、お疲れさまでした。 新百合ケ丘の皆さん、3月16日をお忘れなく! (K) |
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