人生の先輩にカンパイ!

時代や社会の変化に翻弄されながらも、前向きにたくましく生きてきた“先輩たち”に敬意を表したくなる5作品
ミリキタニの猫 ≪特別篇≫
ミリキタニの猫 ≪特別篇≫
2006年/アメリカ/74分/ドキュメンタリー
監督・製作・撮影・編集:リンダ・ハッテンドーフ
製作・撮影:マサ・ヨシカワ
出演:ジミー・ミリキタニ、ロジャー・シモムラ

ゲストトークあり(予定)マサ・ヨシカワ プロデューサー

川崎市アートセンター・アルテリオ映像館
11月2日(木) 15:10
11月4日(土) ゲスト 12:20
ストーリー

ジミー・ミリキタニは、ニューヨークで路上生活を送る日系人画家。第二次大戦中、日本人収容所に送られ、広島の原爆で母方の家族を失い、そして2001年9月11日、彼はどうなったのか?反骨精神を貫き通した、カッコいいじいさんのロードムービー。

ここがオススメ!

日系人収容所、ヒロシマ、ニューヨークでの路上生活、そして同時多発テロ。どんな時代も自分を見失わず、反骨精神をつらぬきとおしたミリキタニの存在感がとにかくスゴい。何が起ころうと、ひたすら自分の絵を描き続ける。まったくブレない生き方に感服。それでも人生の転機は思わぬところからやってくる。戦争・家族・人種・社会・高齢化…あらゆる要素を含んだ、“ミリキタニのミラクル”。11月4日(土)の会場では、ミリキタニの原画と写真を展示。映画とあわせてお楽しみください。(ショージ)

【同時上映】ミリキタニの記憶
2016年/日本/21分/ドキュメンタリー
監督・制作:Masa

※『ミリキタニの猫』各回上映終了後

ゲスト(予定)
マサ・ヨシカワさん
マサ・ヨシカワさん
映画プロデューサー

プロデューサー、ライター、コーディネーター、ジャーナリストなど、映像関連の仕事に幅広く携わる。「ロスト・イン・トランスレーション」(2003/ソフィア・コッポラ監督)などの映画でも製作スタッフを務めた。2016年に『ミリキタニの猫』の追悼編とも言うべき短編『ミリキタニの記憶』を製作・監督。

人生フルーツ
人生フルーツ
2016年/日本/91分/ドキュメンタリー
監督:伏原健之
ナレーション:樹木希林
出演:津端修一、津端英子
川崎市アートセンター・アルテリオ小劇場
11月2日(木) 10:30
11月4日(土) 10:30
ストーリー

愛知県のあるニュータウンの一隅、雑木林に囲まれた平屋に住む津端夫妻は、自宅で70種の野菜と50種の果物を作るほぼ自給自足の生活をしている。かつて日本住宅公団に勤めていた90歳の夫・修一さんに、ある建築設計の依頼が来る…。

ここがオススメ!

お互いを「さん」付けで呼び合う津端夫妻の丁寧な暮らしぶりを追った本作は、豊かな生活や生き方のヒントを幅広い世代の方達にそっと示唆してくれます。信念を持って、こつこつ、じっくり、時をためる生き方とその実りは、きっと後に続く世代へとつながる……。
本作を製作した東海テレビの、作品づくりのスタンスも同様で、長年、謙虚に作り世に送り続けてきたことが見事に結実している作品です。樹木希林さんの、朗らかでのどかなナレーションも、ゆっくりじっくりご堪能ください。(おちあい)

飯舘村の母ちゃんたち 土とともに
飯舘村の母ちゃんたち 土とともに
2016年/日本/95分/ドキュメンタリー
監督・撮影:古居みずえ
出演:菅野榮子、菅野芳子

ゲストトークあり(予定)古居みずえ監督

川崎市アートセンター・アルテリオ小劇場
10月31日(火) 16:50
川崎市アートセンター・アルテリオ映像館
11月3日(金・祝) ゲスト 13:40
ストーリー

飯舘村の榮子さんらは、震災後の仮設住宅の畑でも作物を育て、故郷の伝統食を人々に伝え続けた。長い避難生活が解除された時、守り通されたものと断ち切れてしまったものは?彼女たちの何気ない会話にちゃんと耳をすまそう。魂のジーン・バンク(遺伝子銀行)の物語。

ここがオススメ!

「自分の食べるものは耕して作る。足りない分は山からいただく」
あの日まで、飯舘村佐須地区のばあちゃん・栄子さんには、それがあたりまえの暮らしだった。避難先の仮設住宅でも、親戚の栄子さんとともに畑をつくり、村の伝統食を作り続ける。「佐須の味噌」や「凍み餅」は県外の支援者にも広まったが、一方で、帰還宣言が出るまでの年月に失われたものは何か。希望をはらみつつも苦い、栄子さんらの言葉の数々。ぜひ見て、聞いてほしい。(古市江夏)

ゲスト(予定)
古居みずえ監督
古居みずえ監督
映画監督・ジャーナリスト

1988年よりイスラエル占領地を訪れ、パレスチナ人による抵抗運動を取材。特に女性や子どもたちに焦点をあてる。2007年、映画『ガーダ パレスチナの 詩』、2011年、映画『ぼくたちは見た ガザ・サムニ家の子どもたち』を制作。2016年、福島県飯舘村のお母さんたちを追った映画『飯舘村の母ちゃんたち 土とともに』を制作。著書に『パレスチナ 瓦礫の中の女たち』(岩波書店)、『パレスチナ 戦火の中の子どもたち』(岩波書店)など。

Start Line
Start Line
2016年/日本/112分/ドキュメンタリー
監督・撮影・編集・出演:今村彩子
撮影:堀田哲生

ゲストトークあり(予定)今村彩子監督

川崎市アートセンター・アルテリオ映像館
11月1日(水) 日本語字幕 13:10
11月5日(日) ゲスト 日本語字幕 10:00
ストーリー

ろう者の監督・今村がイメージしたのは人々とふれあいながら沖縄から北海道へ自転車で旅をするロードムービー。実際は毎日70キロ漕ぎ、予想外の連続。「出会いのチャンスを自分でつぶしている」と伴走者の堀田から叱責され、泣いたり怒ったりの日々。

ここがオススメ!

聴覚障がい者の今村監督が自身の心の壁と向き合いもがく姿が、次第に自分と重なっていく。伴走者の哲さんの心のこもった厳しい言葉がずんずん響いてくる。
「言葉が分かれば、誰とでもつながれる」そんなキャチコピーがありました。確かにそれも大切。でも、この映画を見ると、コミュニケーションはそこじゃないと気付きます。
コミュニケーションに悩む人、自分の壁を乗り越えたい人、必見。(手話の一年生)

ゲスト(予定)
今村彩子監督
今村彩子監督
映画監督

愛知県立豊橋聾学校高等部卒業、愛知教育大学教育学部卒業。大学在籍中にカリフォルニア州立大学ノースリッジ校に留学し、映画制作・アメリカ 手話を学ぶ。現在、大学で講師をする一方、ドキュメンタリー映画制作も手掛ける。代表作に「珈琲とエンピツ」(2011)。東日本大震災では、被災した聞こえない人を取材した、「架け橋 きこえなかった3.11」(2013)を制作。次回作として、ろう・難聴LGBTを取材した「11歳の君へ ~いろんなカタチの好き~」を制作中。

しゃぼん玉
しゃぼん玉
2016年/日本/108分
原作:乃南アサ『しゃぼん玉』(新潮文庫刊)
脚本・監督:東 伸児
出演:林 遣都、藤井美菜/市原悦子

ゲストトークあり(予定)東 伸児監督、林 遣都さん(俳優)

川崎市アートセンター・アルテリオ映像館
10月31日(火) 副音声 12:40
川崎市アートセンター・アルテリオ小劇場
11月3日(金・祝) ゲスト 副音声 10:30
ストーリー

親に見捨てられ、女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害をくり返してきた、伊豆見翔人。人を刺し、逃亡中に迷い込んだ宮崎県の山深い椎葉村。怪我をした老婆スマを助けたことがきっかけで、翔人の何かが変わっていく。

ここがオススメ!

原作は直木賞作家、乃南アサのベストセラー小説『しゃぼん玉』。
原作もよかったが、映画の林遣都がとてもいい。険しい顔の主人公が人とのふれあいによって、少しずつ、少しずつ柔らかい表情になっていく。
そして最後に、晴々とした明るい顔になる。その変わりようがいい。
市原悦子の温かいおばあさんがいい。こんなおばあさんが傍にいたら、人は立ち直れる。2人の日々の何気ない会話、食事を共にする時間、他人ながら相手を想う気持ち。それらが、主人公の人生を大きく変えていく。(啓)

ゲスト(予定)
あずま 伸児監督
東 伸児監督
映画監督

1963年生まれ、大分県出身。1989年、日本映画学校卒業。助監督・監督補作品に佐藤純彌監督『私を抱いてそしてキスして』(92)、阪本順治監督『KT』(02)、『この世の外へ クラブ進駐軍』(04)、『亡国のイージス』(05)、和泉聖治監督『相棒』シリーズ(08、10、14)、等がある。2008年、ドラマ「相棒シーズン7」で初監督。本作『しゃぼん玉』が、映画初監督作品となる。


林 遣都さん
林 遣都さん
俳優

1990年12月6日生まれ、滋賀県出身。2007年、映画『バッテリー』主演で俳優デビュー。同作品での演技が評価され、第31回日本アカデミー賞新人俳優賞など多くの新人賞を受賞。その後、『DIVE!!』(08)、『荒川アンダー ザ ブリッジ』(12)など多数の映画で主演を務める。近年は、Netflixドラマ「火花」(主演)、NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」、映画『にがくてあまい』など、多くの話題作に出演する若手実力派俳優。

 
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