鈴木清順監督追悼上映

今年2月に逝去した鈴木清順監督。約50本ある監督作から、映画祭スタッフの激論の末に選ばれた傑作を上映!
ツィゴイネルワイゼン
ツィゴイネルワイゼン
1980年/日本/144分
監督:鈴木清順
脚本:田中陽造
原作:内田百閒
出演:原田芳雄、大谷直子、藤田敏八、大楠道代

ゲストトークあり(予定)佐藤忠男さん(映画評論家)

川崎市アートセンター・アルテリオ映像館
11月1日(水) 10:00
11月5日(日) ゲスト 13:30
ストーリー

士官学校教授の青地と、元同僚で無頼漢の友人・中砂は、旅先の宿で小稲という芸者と出会う。一年後、中砂から結婚の知らせを受けた青地は、名家の娘である新妻の園が小稲に瓜二つであることに驚く。

ここがオススメ!

鈴木清順監督の映画は大胆な色彩感覚と斬新な映像表現にあふれ、その独特の美学で彩られた作品の数々は国内外で高く評価されてきました。日活時代に開花した“清順美学”は、一時期のブランクを経て、1980年に仮設のドーム映画館で上映された本作で見事な復活を遂げ、ベルリン国際映画祭審査員特別賞など数々の賞を受賞しました。二組の夫婦の奇妙な関係が夢と現実のあわいをゆく幻想的な映像美で表現され、物語を通底してサラサーテの同名曲の音色も物悲しく響いてきます。いま観ても新しい、晩年の代表作をお楽しみください。(森)

ゲスト(予定)
佐藤忠男さん
佐藤忠男さん
映画評論家

1930年新潟県生まれ。「映画評論」「思想の科学」の編集にたずさわりながら評論活動を行う。アジア映画を中心に、世界中の知られざる優れた現代映画 を発掘、紹介し日本の映画界に貢献。映画ばかりではなく演劇、文学、教育など幅広い分野にわたり執筆活動を続けている。著作に「日本映画史」(全4巻)「日本映画の巨匠たち」(全3巻)など多数。現在、日本映画大学名誉学長をつとめ、日本映画の将来を担う人材の育成に尽力している。

東京流れ者
東京流れ者
1966年/日本/83分
監督:鈴木清順
原作・脚本:川内康範
出演:渡 哲也、松原智恵子、川地民夫
川崎市アートセンター・アルテリオ映像館
10月31日(火) 15:10
11月2日(木) 10:00
ストーリー

ヤクザ稼業から不動産業へと鞍替えした倉田組の哲也は、恋人の千春と結婚し、ヤクザをやめる決意をしていた。しかし、敵対する大塚組の執拗な攻撃が千春にまで及んだとき、哲也の怒りが炸裂する。

ここがオススメ!

鈴木清順監督の代名詞ともいえる色彩豊かな映像美が光り、60年代の日活を代表する痛快アクション作品。当時の日活のホープ・渡哲也が、愛するヒロインのためにヤクザを辞めようと奮闘するも、闘いから縁を切れない青年・哲也を、アクションシーン満載で華麗に演じる。哲也の水色のスーツや敵対する大塚組の頭・大塚の真っ赤なジャケットなど、登場人物の色鮮やかな衣装が観る者の目に印象深く映る。歌手のヒロイン・千春役を務めた松原智恵子と渡、それぞれが劇中で歌う主題歌が耳に残り、鑑賞後も心地良い余韻に浸れる充実の1本です。(大島)

けんかえれじい
けんかえれじい
1966年/日本/86分
監督:鈴木清順
脚本:新藤兼人
出演:高橋英樹、浅野順子、川津祐介
川崎市アートセンター・アルテリオ映像館
10月31日(火) 17:20
11月3日(金・祝) 10:00
ストーリー

昭和初期、岡山中学の南部麒六は「喧嘩キロク」とあだ名されるほどの喧嘩好きがたたり、放校処分となって会津に転校。下宿屋の娘・道子に想いを寄せつつ、その地でも腕っぷしひとつでのし上がっていく。

ここがオススメ!

岡山の旧制中学で“喧嘩キロク”の異名をとる南部麒六が、初恋に悩みながら自由奔放に暴れ回る日々を爽快に描く、時代を超えた青春映画の名作です。高橋英樹(弱冠22歳!)が主人公麒六を熱演、全編におおらかなユーモアと叙情性があふれ、何度観ても素晴らしい鈴木清順監督の作品です。原作・脚本にはない北一輝が登場する後半のシーンは物議を醸しましたが、1960年代後半の激動する時代・社会状況を背景に、当時の若い観客たちにも熱狂的に受け入れられました。「続・けんかえれじい」の脚本は執筆されたものの、映画化に至らなかったのが残念です。(森)

 
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