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開催日:2013年10月5日(土) ゲスト:松江哲明監督、GOMAさん(ディジュリドゥ奏者)
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司会:では、いろいろと、まだまだ聞きたいんですが、お客さまからも、こんなことを聞いてみたいということがおありかと思いますので、いくつか質問をお受けしたいと思います。手を挙げてお知らせいただけますでしょうか。
観客1:松江監督にお聞きしたいのですが。最近、日本や韓国の映画監督で、ハリウッド作品をドーンと作った人がたくさん出てきていますけれど、もし、松江監督がハリウッドでドーンとお金をもらったら、どんな映画を作りたいですか?そういうのはありますか?
松江:(笑)そうですね…。僕はあまり…何て言うんですかね…大きな映画をやりたいとか、そういう欲求がないんですよね。そういう映画は「観たい」んですよ。観るのは僕、好きなので。観たいんですけど、だからといってスピルバーグと同じことをしたい、とかじゃなくて、スピルバーグの新しい映画が観たい。自分が『パシフィック・リム』やりたいかとか、そういうことではなくて、『パシフィック・リム』の続きが観たい。よく、いるじゃないですか、日本のモノ作ってる人でも、「こういうのをやんなきゃだめだ」とか、「がんばろう」とか、「韓国に負けるな」とか。僕、全然「負けるな」とか思わないんですよ。「韓国映画がもっと観たい」というふうに思うので。まあ、あんまりそういうのはないですね。
ただ、やりたい企画とか、今出してるもの、進めているものとかがあるので、そういう、自分が作りたいものが撮れればいいですね。『フラッシュバック・メモリーズ』もやっているときに、説明しても、誰も理解できないんですよ。僕は、こういう形になるっていうことは最初から頭にあったんですよね。だけど、プロデューサーの方とか、もちろんGOMAさんも、どんな映画になるのかわからない。「何を言っているんだこの人は」みたいな。「3Dで撮る」と言ったときに、そういうリアクションだった。だからやっぱり企画って、「○○の映画みたいな」っていうのが通りやすいんだなって思うんですけど。僕はそうではなくて。かといって、僕は別に『フラッシュバック・メモリーズ』が特別新しいとはぜんぜん思っていないんですよ。やっぱり、今のアメリカ映画、ライブの映画とかで、僕はドラムスとか、止まってるもののほうがいいなと思ったのは、例えば『グリー』の3Dとか、U2とか、ライブの3D映画を観ているときだったので。映画の歴史から学ぶというか……『フラッシュバック・メモリーズ』で字幕を出して進めるのも、自分の中では「サイレント映画みたいだったらいける」と思ったんですよ。昔のチャップリンとかも、字幕が画面の中でパッと出てきたりする。だからテロップという使い方ではなく、昔のサイレント映画みたいなスピード感、そういうのは意識して作っています。だから、そうですね、あまり大きい予算で撮るというより、今、やっているものをスムーズにやりたいですね。アニメーションとか、今、進めているんですけれど、お金があればもっと早く進むのになあ、とか。いろいろ、悩みがあるので(笑)。
観客1:ちょっと、そのアニメーションで、もう一つ質問いいですか。
松江:どうぞ。
観客1:前に「ニッポン・ダンディ」っていう番組でも、アニメーションの部分、少し見せてくれたじゃないですか。
松江:音楽ですね。はい。
観客1:今のところ、あのアニメーションはどれくらい進んでるんですか?
松江:ええと……監督はこの間、「18分の1」って言ってました。だからまだまだ、あと2年ぐらいかかると思います。すいません。がんばります。
観客1:ありがとうございます。
松江:今日、スタッフの方がいると思うので……こういう声があるんですよ!(笑)
観客2:GOMAさんに質問ですが。映画の後半で、ディジュリドゥをそれまで使っていた太いのから細いのに持ち替えたと思うんですけれども。何か、トロンボーンみたいに伸び縮みしてたじゃないですか。あれは、GOMAさんのオリジナルなんですか?
GOMA:あれは……どれぐらい古いのかわからないですけど、オーストラリアのかたで、ああいうのを最初に開発した人がいるみたいです。
観客2:もともとあるんですね。ああ、なるほど、勉強になりました。ありがとうございます。
松江:あれ、マイクをつけるのも、みんなやっているんですか?先っぽに、マイクつけているじゃないですか。
GOMA:たまに聞かれるんですけど、あんまりそこらへん、ちょっとまだ、自分で調べていないんですけど。まあ、あれ、言うたらこう…二つ、大きさの違うパイプをすり合わせたら、誰でもできるんですよ。
観客2:そうなんですか?
司会:誰でもはきっとできないと思いますよ(笑)。
GOMA:いや、誰でもね。作るっていうか、水道管のパイプみたいのを、長さをそろえてふたつ切って、太さ違ってこう、入ればもうそれで楽器になるんで。
観客2:やってみます!(笑)
GOMA:吹き方は「ブルルルル」ってやればいいだけなんですよ。トランペットをもっとゆるくするというかね。したらできますので。
観客2:じゃあ試してみます。ありがとうございます!あと、松江さんにも質問、いいでしょうか。映画の深読みとかは嫌がられると思うんですけれども、映画の中で、GOMAさんの10月の演奏風景と、過去のこととが二重構造になっていたと思うんですけれども、前面の3Dの部分も、後ろも、両方ともGOMAさんの10月の演奏の場面があったと思うんですけれども。あれは何か意味を持たされたんですか。
松江:ああ、後半のね?
観客2:過去と今がつながる、みたいな。
松江:うーん、まあ、いろいろあるんですけど。編集の人に言ったのは、GOMAさんの、日記で「どこの時間軸に存在するのかわからない」という、あれをちょっと映像化してみたいというか。過去も現在も、というか。今まで観ていた、同じ時間軸だけれども、一秒前とかがもうすでに過去なわけじゃないですか(?)。
観客2:そうですね。
松江:で、そこに映っているGOMAさんが、細いディジュリドゥでジャンプされているじゃないですか。さっきまでの自分をつついている感じみたいな、ちょっと遊びっぽく、そういうふうに編集して、みたいなことは編集のときに言いましたね。だから映像ではあまり説明はしていないんですけれど、できるだけGOMAさんの感覚に近づけたいというか。まあ、あの白黒のアニメーションにパッと変わるのも、GOMAさんだけの時間軸というか。そういう、何か、日記のヒントを映像化する、そういうことは意識して演出していますね。
観客2:よくわかりました。ありがとうございます。
司会:では、まだまだご質問をお受けしたいんですが、お時間の都合もございますので、最後にわたくしの方から、11月22、23日に立川シネマシティシネマ2で『フラッシュバックメモリーズ 4D』完全再現ライブというものを。皆さまにはチラシをお配りしていますが、今、GOMAさんが準備中ということで。
GOMA:そうですね。絶賛準備中で。この映画で使っている映像と、音とをまた一回分離して、3Dを通り越して、もう、4D。実際にこの映画の中の音を全部自分たちが生でその場で再現していくっていう形で。皆さんは3Dのメガネをかけていただいて、3Dの映像を見ていただきながら、まだ僕らがその前にいる。で、リアルに演奏の音を体感していただくっていう4Dっていう企画を11月、やりますので、ぜひ足を運んでください。よろしくお願いします。
司会:よろしくお願いします。では、最後に、映画祭からちょっとプレゼントがございますので。シネマウマさんとプレゼンターの方、お願いしまーす。
(シネマウマ登場)
GOMA:ウマだ。シネマウマさん。ゆるキャラですか。
松江:19年前からキャラクターでしたよね。(←正確には17年前ぐらい)
司会:はい。すいません、変わっておりません。
GOMA松江:ありがとうございます。
司会:それでは以上をもちまして、トークイベントを終了させていただきます。松江監督、GOMAさん、お客さま、どうもありがとうございました。
GOMA松江:ありがとうございました。
(了)